当スクールがめざすのはプロもプロでない人も、本当の意味で「歌を楽しむ」ことです。
「歌は下手より上手い方が楽しい」
と、私たちは考えていますが、スポーツでも芸術でも仕事でも、「デキる」方が楽しいのは当たり前ですよね。
「ヘタでも楽しんでいれば良いじゃないか」
そんな声が聞こえてきますが、それもその通り!おっしゃる通りです。
いまお話ししているのは、下手よりも上手い方が楽しいだけであって、下手だと楽しくないという意味でも、下手だとダメだという意味でもありません。
野球が好きで草野球チームに入っている方は、それだけで十分に野球を楽しんでいて素晴らしいことですが、ヒットやホームランが打てた日は、きっといつもより楽しいはずです。上手くなると楽しくなるのです。
そして自分の歌を周りの人も楽しんでくれて、「良い声だねー」とか「上手いね!」とか「すごい良かった!」と褒められると、やっぱり嬉しいものです。
そんな意味で「上手くなると楽しくなる」というのは、いろんなことに当てはまる法則なのかもしれません。
そして、当スクールがめざすゴールがもう一つあります。
それは「感動」を与えられる歌を歌えるようになることです。
「感動」とは言っても大げさに考えていただきたくないのですが、私たちが考える「感動」とは「人の心を1ミリでも動かすこと」です。そして感動の種類も「泣けた」「震えた」など、非常に強いタイプの感動だけが感動なのではなく、「なんだか元気になった」「キュンとした」「力が湧いた」「ほっこりした」「テンションが上がった」なども感動だと考えています。人の気分や気持ちを少しでも動かすものは、すべて「感動」だということです。
歌には当然ですが「メロディー」と「歌詞」があります。この2つはどちらもあらかじめ誰か(歌っている本人も含めて)が作ったもので、すでに決まっているものです。そして当然ですが、少なくとも日本人であれば日本語の歌詞の意味はわかると思います。
しかし意味はわかってはいるものの、意外にもほとんど「そこにどんな気持ちがこもっているのか」ということはわからずに歌詞を理解しています。
「どういうこと?」という声が聞こえてきそうですので、ちょっと例え話で説明させてください。歌詞にとてもよく出てくる「愛してる」という言葉を例にしてみましょう。
同じ日本語の「愛してる」であれば、意味は辞書を調べれば同じです。しかし、メロディーや表現方法によって「まっすぐためらいなく」愛してる、と言っているのか、「恥ずかしげに戸惑いながら」愛してる、と言っているのか、「言えなかったけど思い切って」愛してる、と言っているのか、その背後に流れている気持ちは、同じ言葉でも全く違います。
そして、この背後に流れている「気持ち」に正解はなく、歌う本人が「こう」感じて歌うならそれが正解です。ただし、何も感じていなければ、誰かを感動させることはできません。自分が感動していない歌に他人が感動することはないのです。
同時にこの「気持ち」を「声」に変換しないと全く意味がないのですが、このあたりはまた改めて。
話は少し変わりますが、私たちは歌というのは「コミュニケーション」だと考えています。
プロにとってはお客さんとのコミュニケーション。アマチュアにとっては仲間とのコミュニケーションです。
大好きな人や仲間と一緒に過ごすと楽しいのは、人間はコミュニケーションを楽しいと感じるからなのでしょう。(人間だけとは限りませんが)
コミュニケーションのひとつの手段である「歌」が、あなたの人生の良きパートナーになれるよう願って、たくさんの人に歌の本当の楽しみ方を伝えていきたいと思います。